近付けば
藤鈴呼


ぼんやりと浮かぶ
緑 黄 赤
原色までは 近付けず
柔らかな 芝の上を 思い出したり
仄かな 頬の温もりを 感じたりもする

このあたりに
四手が あったよなあ
アカシデだったかいやあ
街路樹になるヤツ 
あれ 何て言ったっけなあ
そうだ ケヤキだ

なんて会話に包まれながら
近付いたら もみじ
いや カエデ
一体 どちらが本当なの?と 繰り返す
裏も表も 彩り豊かで
空を見上げて 美しい溜息を吐く

赤子の掌を 触りたくもなるような
秋の気配を ゆっくりと 振り返る

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自由詩 近付けば Copyright 藤鈴呼 2018-03-22 06:55:48
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