冬ほたる
藤鈴呼


ゆっくりと流した涙を
重ねて作る 水たまり

溜まり過ぎて 川になって
何れ海へと 向かうから

塩辛い理由を
そんな風に 
考えることにした

海の中に浮かぶ 二つの島を
結ぶ存在
海ホタル

何て 可愛らしい ネーミング
辿り着いた 土産ショップ
木馬のようなオブジェに跨る

ポニーテールも水に浸かると
重くなるよ
長かった髪と 同じ位に伸びた記憶が
そっと囁く

街角で見つけた灯り
真っ先に思い出すラジウム
こんな処で 君が
移ろいでいる訳は無いと
決め付けていた

彼等は
水の綺麗な場所に
集まるからね
カメムシも そうだなんて
夢を 壊さないで

弦を弾く後の
余韻が全て
光の尾と 同じくらいに
妖艶

捕まえてはダメ
掴んでもダメ
そっと 眺めるくらいが
丁度良い

アスファルトジャングルには
似合わぬ光だからこそ
求めるのね

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自由詩 冬ほたる Copyright 藤鈴呼 2018-03-16 09:51:25
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