光の帯
藤鈴呼


北風の音で 眠れぬ季節がやって来た
夜の唱は 愉しいかい?
話し掛けようにも 勢いの強い風は
留まること知らず
対流しながら 我の心を 鷲掴んで
空に 飛ばしてしまいそうだと 身構える

布団にくるまり
風よ、お前なんかとは 絶交だ!
鼻息荒く 見た夢は
哀しげな気配

どんな朝にも 青空がくっついている
見えぬのは 雲の悪戯
相手をしようにも すり抜けてしまう
ここが 空の上でも
絨毯みたいに 胡坐を欠いて
会話する訳には 行くまいぞ

天使の梯子が見えた夕刻
不思議な一団が 昇り始めたのかと
目を凝らして気付く
薄い雲に 覆われぬ部分のみ
光が見えているだけだ
その路は 思う以上に遠く
簡単には 踏み出せぬ 一歩を思う

写真や記憶や幻想でしか出会えぬ虹
久方振りに掛かる 幾重もの筋に感動し
ふとアクセルを緩めると同時に
心が ほぐれ始める
きつく巻いた紐が ぷるぷるの幻魚を
羽交い絞めに しませんように

生臭さの残る ベランダから見上げる空
青の術 未だ 見えるよ

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自由詩 光の帯 Copyright 藤鈴呼 2018-03-14 10:42:17
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