ヤスヒロ ハル

雪が降りそうな
優しい朝でした
風がよわいので
寒くはありません

あなたの手は
夢を撫でていて
もうすぐそれは
孵化しそうです

季節の眠る年輪が
わずかな光に向かってゆき
そこに腰かけたあなたは
まるで花のようです

突然の風が
木漏れ日を拐かし
あなたは長い髪をおさえ
目を細めましたね

なびいたスカートを整え
微笑みの香りを振りまき
雲の向こうで太陽が巡るのを
つぐみと一緒に見上げましたね

もうわたしは光になってしまったから
あなたからは見えないけれど
その健やかな瞳は
変わらず美しいのですね

あなたの
瞳に
指に
髪に
微笑みに
もえるような愛を贈ります

春という名の静かな愛を


自由詩Copyright ヤスヒロ ハル 2018-02-25 21:58:00
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