untitled
かとり

壁に掛かった
インクジェットの白黒写真
オレンジの間接照明
ゆれる黒い
液体に乗って
通り過ぎていった知らない人たち
照り返す瞬間ごとに
こまかく失明した
方角のひとつひとつが
積もっていくようだった

背後で豆を挽く音がした
あなたは白いカップを持って写真の中にいた
私は目の前の液体に
口をつけないわけにはいかなかった


自由詩 untitled Copyright かとり 2018-02-21 21:53:58
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