水虫ジュク夫「生きていてもいいですか?」
花形新次

コンビニで

菓子パンを
ポケットに入れる

若い女が
見ている

ポケットに
入りかけの
菓子パンを
見ている


仕方なく
棚に戻す

ホッとして
サラダを手に取る

(沈黙)

菓子パンを
盗む

気配で
振り返る

視線が合う

ポケットの
菓子パンに
目を移す

凝視する

仕方なく
棚に戻す

また
サラダを手に取る

(沈黙)

菓子パンを
盗む

気になって
お互いが見る

(沈黙)

もうひとつ
菓子パンを
盗む

(沈黙)

もうひとつ
菓子パンを
盗む

(沈黙)

もうひとつ
菓子パンを
盗む

ポケットに
入らない

そのポケットを
凝視する

ひとつ棚に
戻す

ホッとして
サラダを手に取る

(沈黙)

菓子パンを
盗む





自由詩 水虫ジュク夫「生きていてもいいですか?」 Copyright 花形新次 2018-02-18 22:53:59
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