水虫ジュク夫「ミニマル自称詩」
花形新次

厚手の
ソックスで
蒸れた
足指の間

沈黙
(か、ゆ、い)

ふやけた
皮膚の下に
流れる
体液

水虫の



掻いた
指を
嗅ぐ

ジュクした
足指の
におい

少し
血のにおい

沈黙
(か、ゆ、い)

掻いた
指を
嗅ぐ

少し
血のにおい

掻いた
指を嗅ぐ

(か、ゆ、い)

掻いた
指を嗅ぐ

ひりひりとした
痛み

掻いた
指を嗅ぐ

水、水虫の

体液、血

皮膚が
床に
落ちる

か、ゆ、い

掻いた
指を嗅ぐ

爪に溜まる
皮膚を
捨てる

(止められない)

掻いた
指を
嗅ぐ

指を嗅ぐ

においに
慣れて

指を嗅ぐ

指を嗅ぐ

(か、ゆ、い)

指を嗅ぐ








自由詩 水虫ジュク夫「ミニマル自称詩」 Copyright 花形新次 2018-02-18 01:46:18
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