目玉とレンズとピント
坂本瞳子

ピントを合わせる

とても不自然な動作だ

眼鏡のレンズを通して
焦点が合うのが分かる

疲れを感じる
煩わしくもある

眼鏡がないと
ボヤケたまま
どんなに意識しても
明瞭に見えることはない

眼鏡をかけたまま
明瞭に見える場所を探してる
目力を入れてみたり
微妙な調整をしているんだろう
ふと、視界が開ける
ボヤケていた文字や物体すべてが明確に見える
別の位置がボヤける
またそちらに焦点を合わせれば
そこが明確に見える

とても不自然に感じる
ピントを合わせるための
ジーというズーム音が聞こえてきそうだ

そして窮屈さを覚える

レンズを通さない方が
明瞭に見えているような気にはなるが
そうでもない

こんなものに頼らなければ
見ることさえ叶わないとは

歳は取りたくないものよのう


自由詩 目玉とレンズとピント Copyright 坂本瞳子 2018-02-18 00:38:07
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