情熱
鷲田

老人の顔に刻まれ皺は
都会の橋の上を歩く雑踏の記憶
人々はただ行き
ただ交わる

日常の乾いた吐息
笑いが消えた70年前の白黒の写真
そびえるビルのアスファルトは
感情を持たなかった
癪になり
俺はそいつに唾を吐きかけた
残された灯

寒さが見つめる彼方は
忘却した頃に
体に染みこまれる
感覚、おお、感覚よ!
おまえは決して嘘をつかない
それは永遠の真実だ

飛び回る鳥は空の上で死んだ
生きるとは現実ではない
見えない彼方への疾走である
それは未来へと続き
それは過去を遮断する

景色が物語る
電車の音
家の明かり
捨てられる愚痴

俺は決して死なない
俺は決して死なない
未来に描かれる一つの絵の
一つの情熱


自由詩 情熱 Copyright 鷲田 2018-02-14 19:48:15縦
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