谷川俊太郎さんの詩から学ぶ 効果的な書き方 (1)
片根伊六

ぼくは自分にとてもデリケートな
手術をしなければならない
って歌ったのはベリマンでしたっけ自殺した
うろ覚えですが他の何もかもと同じように

『続・谷川俊太郎詩集』p.74より


改行や文節の順序が自由ですね。
(文節:文を実際の言語として不自然でない程度に区切った最小の単位。)

それでいて、「谷川さんって、会ったことないけど、こういうしゃべり方するんだろうな」と感じられる、自然なリズムになっています。

もし普通の文章で書いたらこんなふうになると思います。

他の何もかもと同じようにうろ覚えですが、「ぼくは自分にとてもデリケートな/手術をしなければならない」と歌っていたのは、自殺したベリマンでしたっけ?

この二つを読み比べてみると、詩って自由になんでもやっていいんだなと感じると思います。

この詩の後書きで、次のように書かれています。

一九七二年五月某夜に、なかば即興的に鉛筆書き、同六月二六日、パルコパロールにて音読。同八月、活字による記録及び大量頒布に同意。(p.75)


倒置法がどうのとか考えている暇はないようです。
人それぞれ話す時の癖があるように、文章にも癖があるほうが魅力的だと思います。

もちろん、このように即興で一発OKというのは、谷川さんだからできることだと思います。
自分の文体が自然と出てくるようになるまでは、書いたのものを何度も読み直して、書き直して、自分にしっくりくるリズムに近づけていく必要があると思います。


散文(批評随筆小説等) 谷川俊太郎さんの詩から学ぶ 効果的な書き方 (1) Copyright 片根伊六 2018-02-14 13:16:22
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