とうめいに しずむ
ウデラコウ

途方にくれて 貴方に縋る夜は
とうめいな記憶に 全てが解けて
まるで 何もなかったかのように
ただ 涙だけが 止め処なく溢れる

消えることのない 痛みと
癒えることのない 貴方とを

こうしてまた 私に見せつける

遠くとおく 貴方は隣にいないのに
どうして こうも
私を揺さぶるのか

間違えて 戻りようのない 道なのに
それでも
貴方が 煩いくらいに
私を揺さぶるから

止むことのない 音と
届くことのない 色に

私はまた 塗りたくられて

貴方がまた 笑うのであれば
途切れない絆だけ そこにあるよと言うならば

とうめいでか細い 錦糸で構わないから
少しだけ今は
私と貴方を いつもより少しだけ
強く

繋いで欲しい

あと少しで
きっと
とうめいな滴が落ち切るから

その最後の一滴が
水面を揺らして
混じるまで

消えないで


自由詩 とうめいに しずむ Copyright ウデラコウ 2018-02-13 22:58:16
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