異水
一輪車


三味(しゃみ)の音(ね)に
追い立てられるように
テラのある岬の
へ先まで
谷町筋の尾根を
手とり歩く

イカスリの巫女の台なる
この丘の
みぎわはシ(さんずい)に満たされて
しぶきの名残りが
そこ彼処(かしこ)に立つ
大江神社のしで越しに 
通天閣が火を灯し
河内湖に没む
動物園
遊郭
墓地
ラブホテル

うみ底にゆれる新世界に指を浸して字を書く女がいて
なにをしているのかと問うと
歌を、と答えるしりから消えてゆく
半島の海人たちは
南の筋に鯨をひき
大陸の馬人たちは
東の山に磐船を降ろす

 なんやねん われ それがどないしたちゅうんねん われ
 いてもうたろか われ 

血に 
地が重ねられ
シの堆積に覇者の字義が塗りかえされた広辞林
市場 船場は路地奥に隠れ
ジャンジャン横丁に
長考のすえ端歩をつく男

"あんた、レンコンの糸の上歩けるかぁ~"

不倫の道行きは千日前花月
ただの斜面 大阪




   


自由詩 異水 Copyright 一輪車 2018-02-13 13:56:43
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