鷲田

海には白い波と澱んだ茶色の水中の飛沫がある
俺は鎌倉に一つ欠伸をした

都市は眠りに付いている
生活者にとっては好都合だ
週末の大手町に流れる旋律には音が無かった
響きも無かった
記憶だけが脳裏の声を覚ます
嫌な記憶だ
だが、それは快楽にもなり得る
そしてなんと言っても金になり得る
私の選んだ主義は資本だった
それは今日も地下鉄に揺られる婦人と同じ主義だ
満員電車に押し込まれる正常者の
目指すビルと同じだ
描かれる世界が社会を掻き消す
時刻
12の数値を僅かに廻る

冬の景色に差し込む陽光
差別主義者が忘却する風
つまり、人類が感じる彼方
雲がはっきりと見え
山はくっきりと形を成す
訪問者は今日の予定に忙殺され
旅人は遠くへ羽ばたこうとする
見よ、中国からの観光客が日本の歴史にはしゃいでいる
それは海がただ果てないからという理由で
憎むべきものは何なのか
昼の眩しさに両目がどうも開けられず
キラキラと音が鳴る

果てしなく突き抜ける空の蒼さ
鳶が旋回する
砂に反射する光に街は眼を覚ます
しかし、反発はしていない
我々がここにいる事実は
たいした意味を成さない
潮風が顔面を洗う
汚れた砂浜
縮れている昆布の香りと捨てられたタバコの吸い殻
散歩に来た犬が一匹、二匹と砂の上を走り回る
時刻
3の数値を僅かに過ぎゆく

海が見える邸宅の景色がやがて止まる
東に進むと空気の密度が黒くなる
海、言葉に溢れ
そして今日も何も言わない


自由詩Copyright 鷲田 2018-02-12 19:51:50縦
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