子守唄
服部 剛

風呂で溺れた
ダウン症児の周ちゃんが
救急車で運ばれ
一命を取り留めた
子供病院

入院後の回復は順調で
3日後に人工呼吸器は外れ
ゆっくりと目を覚ました

日が暮れて、パパは
スーツ姿で面会にゆき
ベッド柵に囲まれた
周ちゃんは
今夜も寝つけず

昨日ママが、家から持ってきた
歌の玩具のボタンを押すと
静まり返った病室に
バッハのアリアは流れ出す

300年前の
遠い異国の御魂みたま
メロディとなり
時を越え
幼い胸へ流れる

小さな耳をぴくり、傾ける
我が子を
ベッドの傍らで見守りながら
(不滅なもの)を想う

子供病院
消灯の時刻  






自由詩 子守唄 Copyright 服部 剛 2018-02-08 18:42:24縦
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