彷徨
もとこ

アタシは夏が嫌いだった
生まれた朝を思い出すから
アタシは冬が嫌いだった
自死する夜が思い浮かぶから

長い闇から解放されて
自由を謳歌している声が
アタシの脳を撹拌するから
彼らを不当に弾圧したい

誰かの不幸は誰かの幸福
当たり前の法則はとても残酷
勝者と敗者は水と油だから
薄い皮膜は永遠に破れない

もうひとつの恋を探して
無垢な娼婦が荒野をめざす
力尽きた神の代わりに
老いた赤子が産み落とされる

アタシはコンパスだけを頼りに
白夜の通学路を彷徨っている
真理を知っている誰かさんは
肉親の薄情さで沈黙している

お願いだから電話を切って
停戦よりは簡単でしょう?
世界の終わりは窓の向こうで
アタシの帰りを待ちわびている


自由詩 彷徨 Copyright もとこ 2018-02-04 17:32:03
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