鷲田

繊細な感覚を奏でる音楽は
砂浜を横切る風の音に似ている
ヒュー、ビュー
それは脆く、脆く、脆く、儚く
吐き気が出るような血の色をしている

真っ赤な
無色透明な
想い出はそこの土の上には立ちはしない
実績等はそこの平面には登らないのです

感傷に浸り
ヒタ、ヒタ、ヒタ
感覚に押しつぶされ
ボツ、ボツ、カツ、カツ

言葉が連なられる彼方には
陽が見えない
決して明かりが見えない
走り去る車のエンジンの音
定期的に繰り返される電車の音が
平和を与える

それだけの
帰結が待っているのです

私の感情は雑音
私が感情を持つとき
雑音がそれを救うのです

服に着いたタバコの匂いを掻き消す
無色の着色のように

毎日通う
寒さに色づいたトイレの空気
機能性だけに準じた役割を果たす
漏れる小便の音
漏れる大便の音
それがいいのです
ジョボジョボジョボジョボ
そして静寂

生きるとは効率性ですか
感じることですか

リズムですか
麻痺ですか

食べることですか
走ることですか

いいえ、いいえ、いいえ
いいえ、いいえ、いいえ

また答えは出ないのです。


自由詩Copyright 鷲田 2018-02-01 20:22:35縦
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