Another MOON
1486 106

ガスマスクを着けたまま

廃墟となった遺跡を歩く

地上に出たのは3年振り

メーターの針が大きく揺れた

ここでは人は暮らせない

有毒なガスが蔓延している

サイレンの音が鳴り響いた

身を隠さなければ殺される

センサーライトを掻い潜り

背後から銃弾を浴びせた

ロボットは動作を停止して

束の間の静寂を取り戻す

ここでは人は暮らせない

地上はオーパーツの楽園

屍の身包みを剥ぎ集め

細々と命を繋いでいく

この星の動力装置は

もうすぐ完全に停止する

ここでは人は暮らせない

あとは運命を共にするのみ

頭上に浮かぶのは片割れの月

そこには綺麗な水があると

遠い昔に聞いたことがある

部品を集めて船を作れたら

この目でそれを確かめたい

(そして思い知ることとなる

 ここでは人は暮らせない)


自由詩 Another MOON Copyright 1486 106 2018-01-30 21:45:41
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