また夕べ
小篠 真琴

だれかの横顔に傷ついた
曇りがちな町を変わらず今日も歩いてる
海の先では釣り糸たらして
ぼくと同じ夕陽待ちをしているんだね
明日は疲れ果てるのかな
なぐさめて欲しい
ちょっとずつ崩れていく身体に言葉をふれさせて
泥色になった心持ちの意味
見下さないでね

海ばっかり、いつも優しくて
馬鹿みたいでしょ
なんど同じことくり返してるの?
大嫌いなんでしょ
なにも変われていないことが、少しだけ自信かな
許してよ

部屋から出ていくのが怖かった
知らない人の群れに触れるのが怖かった
いつからか大人になることもやめた
いつまでも一人きりだけど
気分転換すらできない昨日みたいに
潮の音ばかり聴いていた
ありがとう、ありがとう
それでも支えてくれて、ありがとう
そんな時ばかり、つないできたんだ

海ばっかり、見ていた
いつまでも、いつからも変わらず居てくれた人
ありがとう
それでも、なにも変われなかった
それだけは、ごめんなさい
またうつむいたまま、時間だけ数えてた


自由詩 また夕べ Copyright 小篠 真琴 2018-01-28 16:21:26
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