こぼれ話
ただのみきや

杯から酒が溢れている
容量以上に入りはしない
さあおこぼれにあずかろう
わが同胞よアル中諸君

財布から札が溢れている
使える額など知れたもの
恵んでもらえだめなら盗め
親愛なるストリートチルドレンたち

水着から裸がはみ出している
景気がよかろうと悪かろうと
横目で素早く品定め
金持ちも貧乏人も男はいつも

国から文化が垂れ流される
卑屈な奴ほど褒め殺される
上の句から下の毛まで一緒くた
クールかね否シュールでしょう

ポストから手紙が逆流する
回収人のいない言捨て場から
詠嘆と嗚咽 散弾的羅列
しかして君もイケル詩バカね

スロットがコインを吐き出した
消化不良の知識を嘔吐しまくる男みたいに
役には立たないゲームセンターのコイン
平和で豊かな暮らしに付いた利息

言葉がこぼれた
心はいっぱい喉をつまらせ
一つ二つ こらえ切れない涙のよう
大切なことは何も伝えられないまま




                《こぼれ話:2018年1月27日》








自由詩 こぼれ話 Copyright ただのみきや 2018-01-27 20:51:19
notebook Home 戻る  過去 未来