断片
こたきひろし

空いちめんが綺麗に切り抜かれて
落ちてくる事態の
予報はなかった

そんなあり得ない気象は
僕の悪い夢の中で起こり
何の説明もないままに続きもなかった

目が覚めて
寝台で見上げた部屋の天井には
不安の染みが広がっていく

いつか
僕の体も干からびて
背死に横たわれば
虚ろな眼の向こうに天国なんて見えるんだろうか

記憶の糸を寄り合わせても
思いでなんて儚いものだろう

思考の森に吹くのは陰鬱な風
そして血が垂れるように降る雨

そんな空いちめんを綺麗に切り抜いて
僕の孤独な命の
はかりしれない痛みに被せてしまいたい


自由詩 断片 Copyright こたきひろし 2018-01-24 09:19:01
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