机上
あおい満月

机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけになった。

その一瞬前には、
たくさんの唄や、
しなやかな左腕や、
どこまでも翼のように
軽い足があったはずなのに。

私から、
できるものを奪ったのは
あなたという私だ、
私というあなただ、

吹きすさぶ嵐が
窓硝子を砕いて
去っていったあとの
部屋の机に残された
一枚の紙とペンを握りしめて

私は書く
私の血を、
私の肉を、
私の骨を、

やがて雲が切れて
太陽が地に光の筋を降ろす
その時に握りしめた手のひらには
一握の光が握られている
私は手のひらを広げて放つ

今、
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけがある。


自由詩 机上 Copyright あおい満月 2018-01-23 11:49:36
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