溶ける
鷲田

強張る体は雪の寒さのせいではなかったのだけれど
君がずるいと言うから
僕は舞い落ちる白い結晶の束をずしりと踏んだ

彼方にある栄光が視界の中で微かに光る
道にはどこからか来て
どこかへと向かう足跡が残り
やがては水分となり蒸発していく
誘惑から解き放たれた身体の根本を問うような午後

声が消えて行くことを祈り
電車の女性の顔は他人へと還る
言葉が雑音であれば
世界は本来的な平和を取り戻す

日々に張り付いて出来た
絵となった景色を見て
壊さずに
その場に捨てていきたい
それもやがて蒸発していくから

冷たい雪が舞い落ちる側に
あなたが居てくれて本当に良かった
暖かさは積み重ねた過去の想い
白くなった雪空に
あなたと3人で溶けていきたい


自由詩 溶ける Copyright 鷲田 2018-01-22 16:45:18
notebook Home 戻る  過去 未来