ふたつの魂(こころ)
あおい満月

向かい合った二つの顔は、違う方向を見ていても
同じものを見ていた。向かい合った二つの顔は、
互いに違う方向を見ていても同じものを見ている
事実を酷く嫌っていた。どうしてこんなにも、似
ているもの同士が向かい合わなくてはならないの
か。影のようについてくる、その微笑みが私には
うっとうしいだけ。けれど、あなたが泣いている
と、いてもたってもいられなくなるぐらい不安に
なる。ほんとうは声をかけてほしい。一緒に唄を
唄ってほしい。けれど今は何も聴こえない。向か
い合えるほど近くにいるのに、鏡の壁に阻まれた
私たちは。東と西、西と東。どちらがどちらを征
するのかは、互いが信じた、本当の何かを魂の底
から貫くことができるかだ。そこに一切の邪念な
ど入れず、あらゆるものを削ぎ落としたその先に
あるものを手にすることができたなら、きっとな
にものよりも尊い魂を抱きしめられるのだから。


自由詩 ふたつの魂(こころ) Copyright あおい満月 2018-01-22 03:03:01
notebook Home 戻る  過去 未来