充足感と破壊衝動
木村きむ

温もりでとろける
絡まりあった指と指
暗い部屋に響くのは
ノクターンの寝息

人はこれを幸福と呼ぶのでしょう

欲しているのはここにはない指で
せめて夢の中ではと
瞼を閉じる
見えるのは濁った水溜り

大切な泥水を詰めた小瓶を
内ポケットにしまって
行く当てもないまま走り出した

夜想曲は遠くなって


自由詩 充足感と破壊衝動 Copyright 木村きむ 2018-01-17 15:18:48
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