映える緑の
ヒヤシンス


 映える緑の並木道をゆくと教会がある。
 尖塔が銀色に輝き、裏手を流れる川のせせらぎが聞こえる。
 数知れぬ魂の鼓動は木の十字架の前で私を探している。
 まるで異国の者を探るような眼差しで。

 それは一枚の絵画を眺めるのに似ている。
 人里離れた村からやって来た私は仮面を取らねばならない。
 そして静かに佇むのだ。
 清涼な空気を胸いっぱいに吸い込んでから私は重い扉を開いた。

 私は今一度心を開こうとした。
 現代を生きるあるがままのものに。
 未来を生きようとする全てのものに。

 教会を出ると午後の日差しが目に染みた。
 魂の鼓動は私に寄り添い、去って行った。
 満ち足りた感情を抱く為に私は今日も生きている。
 
 


自由詩 映える緑の Copyright ヒヤシンス 2018-01-13 05:21:22
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