草稿①
よーかん

第一章
 
今年の正月前後の二週間、
心の中を台風が通り過ぎて行った。
 
去年の秋、
正しくはその前の秋に。
仲間の離婚のお陰で、
呑みにも乗る気になれず、
家飲みの癖がまたぶり返した。
 
ペットボトルの赤ワインとアタリメやチーズ
部屋でユーチューブ、
ネットフリックス、
フールとグーグルビデオを
ハシゴする時間だけが、
生きがいのようなオトコになっていた。

「えっと、ホットコーヒーSサイズもお願いします。」
「砂糖とミルクはご利用になりますか。」
「ああ、いえ、そのままブラックで。」
「ありがとうがざいました。」
それだけで、ピーススーパーライトもいれて、
¥1500になり
 
正直、
この一年と数ヶ月で、
なにかのためのお金も、
いつの間にかなくなっている。
 
給料前にATMで、
数字を気にして金の割り振りを考えるのは、
オトコのあり方に深い影響があるようで
ここ最近、
なんとなく、
女達が冷たくなったようなにも感じていたりしたため、
目も合わせずに袋を受け取るようなパターンが多いかもしれない。

ただ今朝も、
東関東・千葉北インターに向かう途中のローソンの、

いつも大きなマスクの若い店員だけは、
「砂糖とミルク」を確認せずに渡してくれるから、
僕なりに感謝の気持ちで、
「どおも」と挨拶出来ている。
 
細身のジーパンをゆるく履き、
ユニフォームはたぶんフタサイズ大きめで、
後ろポケットにムラサキ色のダスターを挿して、
布地のスニーカーで足音なく動く、

彼女の早朝に、
好感を感じているのに嘘はなく、
表情に出さないよう気をつけているのが、
オジサンの朝の感じだと、
そうだろうなと思っている。
 
マスクの上の細く平らな眼には、
ボクに対する興味など
微塵もないのだけれど。

話すのが面倒なだけと推測して。
あたりさわりのない会話もしないで通り過ぎている。
 
帰りは
四街道インターで降りるため、
ワインを買うコンビニはどれでも良くて。

ただ出来れば、
その日の賭けの対象になっていたりするのも癪なものだから、
オトコ二人とかの店にはあまりいかない。
 
オトコ二人の店とかは大抵、
夕方ヒマそうな店が多く、
大型トラックの休憩所とかで、
出入りは楽だけど、
店がパッとしないパターンは外からでも分かって、
気楽は気楽だけど、
ワインより焼酎の種類が多かったりするので、
あまりオススメできない。
 
オツマミの種類が少し濃いのが
高ポイントではあるかもしれないけれど、
最近はアタリメさえあれば、
あまり他に欲しくないため、
ヒマ人なバイトの会話を耳に棚を眺めるのも
疲れたりするから、
結局、
通り過ぎてしまうパターンになる。
 
年末年始に台風が心の中をズカズカと荒らして過ぎて行った。
 
 
きっかけは、

仕事のペースが緩まって来る頃、
いつも電話をくれる昔の仲間が、
今回はバックヤードの作業場で、
トランジットのシートの板を研いで、
シャブめな拭き取り塗装で、
厚めに紫外線対応のクリアを吹いて、
ニス塗りな感じに仕上げる、
手順と使用する塗料は違うが、
昔さんざんやった作業だし、
三ヶ月とイチニ週で仕上げるのが今回あるから
との要望もコッチに好都合で、
連絡で週2ならナン曜でもオッケーと、
いつものように書いてしまったのが、

ソレなのかもしれない。
 
ただし、
台風の原因は、
作業場にあったわけではなく、
帰り浦安から、
市川インターに向かう途中のローソンの、

よりによってオバサン店員と出会ってしまって、
その後やはりスッタモンダで。

つまり、
交代時間がキッチリあと10分とかに、
たまに来る車の、
作業服がホコリだらけのオトコは、
オバサンと高校生なら言い切るような、
四十手前の主婦の笑顔に、
コロリと降参したのであって。

彼女にしてみれば、
喫煙所で毎回、
待っていてくれるようなあのオトコも、
シャワーを浴びれば、
まあいいかもね。
くらいのノリでオシャベリに乗って、
ラーメンを食べて、
駅前裏側のカーテンのある駐車場に、
週二回通ってしまって、

始めから、
この作業もあと二ヶ月とか
説明していたのにも関わらず、

ケラケラと笑うその少々重たい
普段着の仕草も、
心地よい煙と、
毎回かったアリナミンドリンクで、

休憩時間延長も、
息子は塾で、
旦那はもちろん遅いわけだから、

彼女にしてみれば、
週二回のダイエットがわりの
運動くらいの遊びだろうと勝手に思っていた。
 
ラインまでにしとけば良かったのに、
携帯の番号、
そこからフェイスブック、
さらに最近はやりのチャット型個人ライブ配信アプリまで、

全部、
教えてしまったのが、
ヌルヌルな関係に固執させてしまった、
図々しいエロセックスのオレで、

ケツの穴まで
舐め
ねぶり
鼻面で
こすりあげ
アゴをねじこみ

わかりきってはいたかもしれないのに、

完全な時限爆弾のセット完了で、

数カ所に地雷も仕込まれ、
個人的な仲間関係も、
ズタズタに破壊準備は簡単にできる。
とっくにそうなってしまっていたのに気づきもせずに。
 
オンナのコトは、これだけにしておきたいが、それだと、ボクの何がこれを話させているのかも、ジブンにわからず仕舞いになるはずだから、このまま、あたりさわりのない程度に、続けることにする。
 
尻が前後に動いてしまうのを我慢出来なくなって、

それが恥ずかしくて、
観られているのが、
余計に好きならしく、
恥じらうのが、

恥じらいで、
羞恥心が体を熱くするようで、

勝手に何度もイッてしまうのを、
また恥じらい、
赤らめ痙攣しながら、
オデコを押し付け、
裏まで舌を差し込んで唸り声をもらし、
吸い付き、
果てて、

まだイケてない
オレまた動くのを
必死に受け止め、

また、
その向こうに行こうとする。

ただただ、
自分に

興奮するタイプのオンナだったから、

最後の頃は
あまり動かなくても、
ソフトに愛撫を車の中から続ければ、

120分でも、
髪を乾かし、
炭酸でタバコを
ユックリ吸うことができた。

丸まって床に置かれたオンナの下着は、
始めの頃より、

繊細な生地になり、
最後は尻丸出しのヒモみたいなので、
あのオンナは、
ローソンで接客しながら、

夕方の期待に

イソイソと
仕事をこなしていたのだ。
 
あんなオンナが、
ああやって、
ハキハキと笑顔で
肉まんやら、
美味チキレッドやら、
Lサイズのカフェラテやらを、
客に手をそえて渡す姿は、

そういうモノかと
自分に言い聞かせないと
奇妙な気分になる光景で。

そういうのが味わいと思える
オトコにカノジョも遊ばれていたのなら、
また違った年末になっただろうにと、

思いだすたびに


股間が萎縮したりする。






これはまだ第一章であると加えておく。

















 
 


自由詩 草稿① Copyright よーかん 2018-01-13 03:53:12
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