満月の夜
坂本瞳子

満月が輝く夜は
部屋で大人しくしていなければならない

耳を尖らせ
爪を立てて
牙を向いて
尻尾をしならせて

四つん這いになって
唸り声をあげて
雄叫びを轟かす

風よりも速く走り
鳥よりも高く飛ぶ

こんな姿は誰にも見せられない

せめて
目の充血だけにならないものか

この鏡のない部屋で
一刻も早く
朝陽が昇るのを待つ

自らを縄で縛り上げて


自由詩 満月の夜 Copyright 坂本瞳子 2018-01-12 22:56:03
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