620兆の生類憐れみの令から漏れたキツネ
水鳥 魚夫

620兆の生類憐れみの令から漏れたキツネ

咲いた 咲いた チューリップの花が
子供達は春に備えて寺子屋で 歌の練習をしています

これをあの小汚いキツネが木格子から見ていました

すると子供達は 歌詞を変えました
寄るな 寄るな 小汚いキツネ
いつ来てみても 小汚いなあー

もう良いでしょう
兎っ子女史こと 美人の兎先生はつぎのようにいいました
あのキツネは将軍綱吉公の生類憐れみに漏れた小汚いキツネです
日本世界 この地上に620兆の(999兆倍の)生命があると言われています
この中からたった1匹だけ生類憐れみの令から漏れた小汚いキツネです

おほほホー  おほほホー
と愉快そうに両手で美しい唇を押さえ笑いました

これを見た寺子屋の子供達はびっくりしました
美しい白い歯を塞ぎきれず 紅い唇のふくらみは大きく麗しい
口元は緩んで 細身のお腹を抱えて笑う様 目差しもそれは清楚だ

「赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐 作」
この俳句の真実は単なる写生俳句でなく
美の始まりと崩壊を目の当たりにした普遍的な事象捉えた俳句でないのか
これは超写生だ 写生を装いつつ隠された象徴主義なのか

白い歯 紅い唇 なんと対照的な まるで美の生きた俳句の様だ
(残飯俳句とはえらい違いだ)
我が尊敬する紀貫之 凡河内躬恒 藤原定家 塚本邦雄が見たら
果たしてどう感想するのか(阿呆キツネ来るな)

以上のように 子供達は二つの貴重なことをことを学んだ
(その一つ キツネ俳句はゴミより小汚いなあ 生類憐れみの令の恩恵無し) 

春の運動会に 子供達の声援と紅白のタスキが揺れる
お日様のように お月様のように 赤と白の美学


自由詩 620兆の生類憐れみの令から漏れたキツネ Copyright 水鳥 魚夫 2018-01-12 21:04:51
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