あらかじめ失われたもののように
シャドウ ウィックフェロー



日にち薬はまるで効かない
河原でいくら小石を積んでも
崩れるまでの束の間のプラシーボ
むしろ崩れることこそカタルシス
時は化粧を拭いさり
肉を剥ぎとって
その骨格を顕にする


めくるめく悔いの中で
あのとき言わなかった
言えなかった言葉たちが渦巻き
あのときしなかった
できなかった行為らが駆巡る
しかし伝えられなかった思いも愛なら
発せられなかった声もまた歌だろう


起こらなかったことも歴史だと
取り返しのつかないものたちが
それを確認するように
くり返し跡をなぞっていく
まるで焦がれる思いが
恋い焦がれることで
満たされていくかのように
憧れが憧れることによって
すでにそこに実現されているかのように







自由詩 あらかじめ失われたもののように Copyright シャドウ ウィックフェロー 2018-01-12 18:15:24
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