終わらない十字架
あおい満月

薄皮を剥いでいくように
少しずつあなたに真実を
話していこう。私が私を
貫くために犯してきた罪
を。目まぐるしく動いて
いく世界から外されて、
誰にためにも、自分のた
めにもなれないと確信し
てしまったときの私の悲
しみは涙となり部屋中を
満たした。私の涙でいっ
ぱいになった部屋で私は
包丁で腕を掻き切り、永
遠の眠りに就くはずだっ
た。真っ赤な血でぐっし
ょりと濡れた布団の上で
目を覚ました私は生まれ
てはじめて生かされてい
るという終わらない十字
架の重みを知った。十字
架は今でも、私の背中に
焼き印となって押し付け
られている。時々、身体
中が痛くてたまらない夜
がある。そんなときは、
無性にあなたの肌のぬく
もりを手探りながら求め
ている。あなたはきっと
、柔らかな花のなかで眠
りながら夢を見ている。
終わらない十字架の啜り
ながら泣く声が、背中か
ら夜の部屋を浮遊する。


自由詩 終わらない十字架 Copyright あおい満月 2018-01-08 03:30:12
notebook Home 戻る  過去 未来