その扉へ
あおい満月

痛みをふさげ
とあなたはいつも目を閉じる
声など切り裂いてしまえとも
私はあなたのことばに
いつもしたがわない
私は誰かの痛みを食べて
誰かの悲しみの血を
この身に受けているから
お母さん、あなたの悲しみは
もう充分すぎるほど味わいました
叶うならあなたの持つその刃で
私の手首を切り刻んでください
そうすれば、私はあなたを赦すことができる
長い間私を鳥籠に閉じ込めたあなたの悲しみが。
私が鳥籠を飛び出し、空へ向かったのは
すべてあなたが教えてくれた道筋を
自分の力でなぞるためです
私は鳥なのに翼がありません
翼は棘の森で引き裂かれぼろぼろです
でもかまわない
私は生きているから
私をとりまくすべてを証明するために
飛べない翼で大地に向かいます
お母さん、聴こえますか
大地の底の底辺から湧き出でる
生々しい生きた産声が
これが私の本当の声です
目の見えないあなただから
聴こえるはずの声を
届け続けます
あなたが本当に扉を開いてくれる
その日まで


自由詩 その扉へ Copyright あおい満月 2018-01-07 21:15:05
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