あらかじめ、言の葉を置く(とある予言詩)
秋葉竹



お紅茶がお好きでしたわよね、どうぞ。

お砂糖おいくつかしら?

《桜ふる夜、艶めかしい声で、》

おぐしの白いものもおふえになりましたねぇ。

私の瞳は、水を失いませんが。



1
謎はどっち、
手品のタネをあばくテーブル、
その下で握手する、
握手する力加減が永遠に掴めないもの。

2
帽子はかぶらない。
やるせない、
零れ落ちる甘い記憶たちの為にも。

3
何も考えたくないよと
恋をして、

恋と結婚はべつものだよと
慰める。

4
我儘をわが光として

悲しみをわが背骨として

明日のしあわせの準備の空に映る

超合金のくろがねの城が懐かしく

そして前を向く。

帰る、家もない。

5
猫の声が、好き
心をすり抜けて対話を重ねて せめて
こころをひろうから。

猫は、私、好き?

6
いずれその花は咲き、あなたの花も咲かせる。
私は中腰でつぎの質問が咲くのを待つ。
聞こえる耳を大事にしておきなさい、
笑顔が見惚れられる時代がやって来る。





わたくしが

口にできる幸福の言の葉はこれきりです。

《まだ、桜ふる夜、艶めかしい声で、》

もう、ご自由に…… おなりくださいね。





自由詩 あらかじめ、言の葉を置く(とある予言詩) Copyright 秋葉竹 2018-01-02 10:27:41
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