パルナ = ガシン
狩心

パルナは朱色の着物
まるで天使のように蝶のように
ひらりと振袖を揺らして
ガシンを指差しながら笑顔で
「おっまえー」と言う

ガシンは紺色の着物で
少し戸惑った顔で
でも嬉しそうに
「おっ、おれ?」と言う

それは
ベランダの大きな窓に付いている
サンダルの足跡の汚れが
たまたまそのような姿に
見えただけなんだけど

冬の年末のひととき
ひとりのガシンにとってそれは
とてもとても嬉しい
懸けがえの無い錯覚で
幸せを感じずには
居られなかった

窓を掃除していなかった
長い悲しみの先に
そんな小さな幸せが
待っていたなんて

見つめ合う二人は
とても幸せそうで
織姫と彦星のように
ほんの短い一瞬を
たいせつにたいせつに
抱きしめるように
いとおしく
していて

今日
ガシンはパルナに会いに行く
クリスマスイヴだからだ
こんな一瞬を今このタイミングで
見せてくれるなんて
神様も捨てたもんじゃないなって
思った

今日は白い部屋のなかで二人で
山や川が描かれている
大自然のジグソーパズルで
遊ぼうと思っている

二人でひとつのものを作り上げていく過程が
楽しみで堪らない
パルナは喜んでくれるかな
楽しんでくれるかな

ガシンは信じている
自分の心が真っ直ぐな限り
パルナは必ず
そばにいてくれると


自由詩 パルナ = ガシン Copyright 狩心 2017-12-24 12:23:50
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