海のサル、オレのクリスマス、二編。
本田憲嵩

   「海のサル」


ローションをつかって
亀頭オナニーをしていたら
突然、眼前の風景が変わった!
オレは下半身のみを海面下に浸して
海も空もどこまでも晴れわたって
青くてもうとにかくオレは海の神様なんだ!
ポセイドンなんだ!ウコム神なんだ!
ああ、いったいオレはどっちなんだ!?
いや、
そんなことはもうどうだっていいんだ!
もういっそシャツも脱いで
ほんとうに裸の男神になっちまおうか?
ああ、水の流れは
性の流れ、
ということに納得する
水で形成された海の水精(ナンフ)たちが、
うつくしい水精(ナンフ)たちが
海のなかで
水藻をつかってねっとりと
纏わりつくように手で嬲ってくれる
おれの「肉鉾」はするどく水の流れを感じている




――そして海潮音は消え失せた



   「オレのクリスマス」


暖房はつけっぱなし
埃の溜まりまくった
散らかし放題のオレの部屋
コーヒーは飲みたい放題
ネットは一日中やりたい放題
コミックだって読みたい放題


エロ本も エロビデオも エロ動画も エロ画像も
おもう存分 観賞し放題
テンションは変にあがり放題
ネットカフェや個室ビデオも顔負けの オレの部屋


徹夜あけ
冬のうるわしい朝日にキラキラとかがやく
積りつもった白い雪が
まるでガラス細工かなにかのようにやたらと眩しい
文字どおりの
ホワイト・アウト・クリスマスである



自由詩 海のサル、オレのクリスマス、二編。 Copyright 本田憲嵩 2017-12-23 13:26:27
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