宙とひとり Ⅱ
木立 悟






息に揺らぐ火のなかから
手をつなぐ手は現れて
熱から蝶を持ち上げて
小さな火傷を増してゆく


ひかり 涙 ひかり 涙
好きなものを嫌いになる
内と外 ひとりのひとりを
疑うことなく


時計の針を造る花
異なる数を創る花
羽と共に
春に眠る花


水の光が
水の音よりわずかに遅く
氷の上を迷いゆく
空を常に映しながら


夜が夜を見つめ
ふと水へ目をそらす
漂うものは漂いつづけ
沈むことなく見つめ返す


諍いの上に降る雪が
諍いのかたちをなぞるのを止め
すべてを覆い隠しながら
小さな音だけを逃がしつづける















自由詩 宙とひとり Ⅱ Copyright 木立 悟 2017-12-18 23:56:16
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