ドローゲームの知らせは街のあらゆる場所で
竜門勇気


拓けた夢の街にある
痩せこけた塔の頂上で
待ち続ける想像を
どこにもいけないチケットと一緒に配ってる

風が吹くような場所なら
どこでももう一緒だよ
嘘みたいな寝言を
ずっとずっと聞いていたい

花びらがそこにあるから
それを持って行ってくれよ

食いきれなかった光は
どれも消えたまま昔の空腹を探すんだ

砕けた街に咲く夢の
ちぎれかけた今日を行動する
燃やし続ける秒針すら
ズートスーツ着込んで地雷原を舐めている

風が吹くような場所なら
もうどこでもいいんだよ
クソみたいな寝言が
もう少しもう少しで目を覚ます

花びらはそこにあるから
そこにおいてってくれよ

食いちぎれなかった痛みが
どれも光に繋がって暗いとこを探すんだ

暗いところを探す
探し続けてるんだ
さあ 泣き出しただろ
あいつ もうわかんねえんだ
光が怖すぎて自分の影を追いかけてるだけなのに
世界は闇に包まれてるってよ
幾千の朝に背を向けるバケモノさ

匂いや反発でなにかがあるかわかる
あることだけが解り続ける
狂い咲く少年性を髪に飾るのは
幾千の朝に背を向けるバケモノだ
鬘に桜色の水晶を生やす概念に
常夜灯の杖に縋る眇の鈍なる下僕を連ねて
賑やかな独唱を響かせる曠劫の果て
ゼペットは間違いを創り強要する
杭を交わし合うものが要るだろう
無限を体現する蛙が跳ねる
消えることも階街に入る
椅子に巣食う朝も白い糸を引いて
振動する針のような虹を嘲笑う
すべての根源はどこへ
軛に支配された全能の接続不感!
過剰さが前日と手をつなぐ
前日は暖かい
こんなものが欲しかったと
思っていた頃があったかもしれない
口上を誰にも与える経験
相乗に乗る黒い騎手は隻眼 隻腕
より悲しむべくは誰よりも幼く 愚昧で
腐らぬ体に宿った目
賢しい末期に発した声を
永遠に吐き散らす口
彼は死んでいて高木に捧げる水
智愛に満ちた時計と笛が
世界の終わりまで音楽のようなものを
打ち ひらめかせるだろう

じゃあ誰が勝ったんだろう
誰が負けて誰と誰が引き分けて
誰がそれを僕に知らせるんだ
唇のない声は
歯がない口腔を通って
意思のない言葉になる

”おまえは”

お前は

”もう”

早く

”あいするな”

死ね


自由詩 ドローゲームの知らせは街のあらゆる場所で Copyright 竜門勇気 2017-12-17 11:58:09
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