溶媒
ただのみきや

太陽の繭玉を紡ぐ朝

 風景も 音楽も
 ひとつ心に溶けて
 対流する
 かたちのないものたちは
 かたちのなかでふるえ
 ただ惹かれていた
 扉の向こう
 音と意の翅を得ることに

 遠浅を往く
 蛹の眠りのよう
 巡礼のあたたかな踝が
 異なる匂い 結んでは
 千切り また撚り合わせ
 繰り返し編んだ
 水のからだ
 閉じ込めたコップは
 かすかに投げ返す
 ひかり
 透過させ 険もなく
 灯のような影に宿る
 見えざる質のゆらめき
 手足を生やし這い上がろうとする
 なりかけの ことばの気配

外気に抱かれた吐息の白さ




          《溶媒:2017年12月16日》







自由詩 溶媒 Copyright ただのみきや 2017-12-16 22:48:03
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