もつもつ
藤鈴呼


のっこりと言う表現が相応しいかどうか
私には分からない けれど
てんこ盛りにされた皿の中身は
どう見積もっても もつもつしている

モツやハツはハラミには 慣れてない
プニプニのコラーゲンを 持て余す若者時代も
とうに過ぎた

それが哀しいとか 悲しがった過去とか
涙を流したかった思いだとかを 
重くのしかかる雲の上に さらりと乗せれば

タルタルソースをかけるよりも 
シンプルに仕上がるのだろう

指でつまんだ人匙の塩加減が絶妙で
もう 何にもイラナイって 満腹の笑顔で言われる瞬間だけを
心待ちにしているように

串刺しにされたミートボールよりも
大きさが明らかに異なるネギマの方が肝心

美味しさとデリカシーの隙間風が吹く回廊
ぽろんと響く琴の弦は月の端まで飛ばされて
黒猫がにゃおんと鳴く

心底 楽しそうに
上唇を 目一杯 拓いて

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自由詩 もつもつ Copyright 藤鈴呼 2017-12-15 22:32:18
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