つるりんちょ
藤鈴呼


お前の美しさに業を煮やす
少し下界の風に晒されると良い
パタンと閉じることの出来ぬ雑誌の
下世話なコーナーに佇む
昔ながらの 電話ボックスに告ぐ
悪夢と灰汁湯を 一緒くたにするな
図らずも 鴉が追って来るだろう
翼を捥ぎ取られぬよう
確りと 準備だけは 怠るな

ぷるんとしたプリンのような艶やかさ
瞼の裏に 何時迄も残る幻影
光の奥で犇めき続ける漆黒と漆
指先が どちらで被れるか
今宵 試してみようか

お前のシナヤカサとツヤヤカサ
鼻歌の向こうで
何処までも 歌い続けると良い
輪を乱すような不協和音も
不思議な笛の音に気圧されて
蹴落とされてお終い

ぷっくりと腫れた 金の十字架
火傷の痕よりも 少し大きめな愛
ハート型のクッキーよりも
少し 砕け易いけれど 大丈夫
バニラエッセンスを垂らしたら
世界一 微妙なニュアンスのコードが出来上がる
どんな和音も 黙らせるような
新しい コードが

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自由詩 つるりんちょ Copyright 藤鈴呼 2017-11-24 21:19:38
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