神奈川流星
オオカミ


わらいながらないた

冬のくるしいことは
もうじきにおわるんだとしんじて
きょうきはかかとすれすれのところに
しまいました

あたたかい
かぜはしおからく
さいたまは あざやかです ね





ね、





わたしは4本のリップクリームを
ただしくつかいません
あいしているのは2本だけです
ひざこぞうがしなしなにひえて
つまさきがこわばっても
しんぞうがうごいている
わたしの



ねえ ころせなくてごめんね
すべてのくるしみをだいてあげられなくてごめんね
わたしは4本のリップクリームのうち
そのはんぶんの2本しかあいせない
そんなむすめだから
ごめんね

かたい木目の
うすよごれたつくえは
にじんだ眼にばかり神秘的にうつる
すきとか きらいとか
せおってあげられなくて
わたしはただ
いまにもくずれおちてしまいそうなあなたたちの
ぶきようさを いとしくおもう




冬がおわるころ
こんなにも軽々しいからだで
あいたいな
あいたいよ
こんな背徳でも

わらうよ
ちぎれるくらい








いまにもくずれおちてしまいそうなあなたたちの
あざやかさに ふれられないかわりに



なみだというぼうりょくで
まいにちにであうのです



未詩・独白 神奈川流星 Copyright オオカミ 2005-03-15 20:26:23
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