路上の夢
鶴橋からの便り


その死刑囚の首に
縄をかけたのは
何を隠そう
僕たちだったんだ
そして彼は
吊るされ命途絶えた
まっ赤な血を
吹きながら命途絶えた
彼の
首の縄には
仕掛けがあって
首をすり抜ける縄も
混じっていた
そうすることで
みんな
罪から逃げ出そうとした
命あるものを
殺める罪から逃れた

彼の処刑の後
パーティがあり
ささやかなケーキが
僕たちに配られた
偽善に満ちたそのケーキは
とても甘く
僕たちの罪を洗い流そうとした
僕は耐えきれず
泣き出した
みんなの冷たい視線が
僕を突き刺した
神の
名の下になら
人を殺めていいのか
正義の
名の下になら
人を殺めていいのか

冷たく冷えた体に
今気がついた
僕は路上で
眠りこけていた
空き缶を集めるおじさんたちを
なぜだか愛しく感じた

            


自由詩 路上の夢 Copyright 鶴橋からの便り 2017-11-23 18:52:12
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