てがかり
あおい満月

あなたに手紙を書こうとして
鉛筆削りで邪魔な時間を削り
落とす。無駄なものをそぎ落
とした飾らない本当の気持ち
があなたへと走っていく。口
に出しては云えないものたち
のあふれるあたたかな鼓動が
赤い川になって私を突き動か
す中心へと注いでいく。私の
海をあなたに届けるために届
け続けるために私は書く。け
れど本当はわかっている。そ
れは自己を奮い立たせるため
の行為なのだと。目を閉じれ
ば色々な声が聴こえてくる。
それらには眼がある。その眼
を憎むのか、赦すのか。赦す
ことをはじめなければ、新し
い扉は開かない。私はあなた
への手紙は、過去を赦し、見
開いた目に映る世界とひとつ
になるための手がかりなのだ


自由詩 てがかり Copyright あおい満月 2017-11-22 04:23:20縦
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