鏡に映る人
服部 剛
誰も自分の正体を知らない
一生、気づかぬ人もいる
思春期に一度気づけど、
結局まぼろしの人も
ひとりの部屋で
鏡に映る自画像は
右と左が逆だし
ああ俺は!
一生涯、己の姿を視れぬとは
だからせめて
自分という名の着ぐるみを
皮袋にして
(光と闇の混濁を、合わせ飲む)
日々現れる
愛しい人間と奏でる
場面の
最中
(
さなか
)
で
自らの中に――光の
錨
(
いかり
)
を下ろしてゆく
魂の部屋を照らすまで
自由詩
鏡に映る人
Copyright
服部 剛
2017-11-20 18:33:03縦