私の家族
冷水
部屋一面 起き抜けの尿の色だ
永い永い言い訳のような廊下を
既に冷たい素足が横行し続けている
いけない事だ
あぁ 本当にいけない事だ
元気でね、と祈られることは
もう元気でないことが悟られてしまった
落ち窪んだ目 それならちゃんと沈んでくれ
頬骨の裏で粗い骨の仕組みだけを見ているよ
大人しくだ 約束する 大人しく見ているよ
潮風は無遠慮に東京の犬歯を錆び付かせる
涎が垂れている 落ち葉が散ってしまうな
流されてしまうな ぽたぽた ぼたぼた
駆け寄るな白無垢
枯木に触れて立つ鳥肌めが
さもさも哀しそうに私を見ている
君の家族はどうした