私の家族
冷水

部屋一面 起き抜けの尿の色だ
永い永い言い訳のような廊下を
既に冷たい素足が横行し続けている

いけない事だ
あぁ 本当にいけない事だ
元気でね、と祈られることは
もう元気でないことが悟られてしまった

落ち窪んだ目 それならちゃんと沈んでくれ
頬骨の裏で粗い骨の仕組みだけを見ているよ

大人しくだ 約束する 大人しく見ているよ

潮風は無遠慮に東京の犬歯を錆び付かせる
涎が垂れている 落ち葉が散ってしまうな
流されてしまうな ぽたぽた ぼたぼた

駆け寄るな白無垢
枯木に触れて立つ鳥肌めが
さもさも哀しそうに私を見ている

君の家族はどうした


自由詩 私の家族 Copyright 冷水 2017-11-20 10:52:24
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