もっともっと世界を教えてほしかった。あたしはからっぽで海を見る、海を見てなにもおもわないなんて、からっぽに違いなかった。目を閉じてふれてもかたちがわかる、それにあたしの記憶がいろやかたちをつけて、なにもなかったように生活は続く。りんごの芯みたいにずっぽりとまんなかが貫かれて、あたしはもうおよぐしかないのかもしんないね。およいでったらあなたに会えますか。あたしの中身は、もう捨ててしまいましたか。もっともっと世界を教えてほしかった。きっとあたしはもう泳ぎも溺れもしないで、あたたかいふとんにくるまってねむる。いつかかならずみんなに会えなくなる。自動販売機を使って水を買う。そんなことが前もあった気がする。これは、誰の記憶なんだろう。触れて。遠くに行って。てをつないだことが、まいにち、すこしずつ、とおくなる。溺れたいよね。