防波堤の暗転
北村 守通

船は急ぐ
港への帰路を
引き波たてて
薄暗くなった
海岸に
一つ
二つと
明かりが灯る
薄暗くなった
空の中
一つ
二つと
星が灯る

引き波が
音をたてて
通り過ぎるたびに
灯浮標は
上へ
下へ
喰らい続ける
衝撃にもめげす
薄暗い
海に取り残されても
それでも
明かりを
打ち続ける

     真っ暗になった
     世界の中で
     星々の
     明かりだけが
     取り残されている

かつて
海岸だったところに
空だったところに
海だったところに
星々の
明かりだけが
取り残されている


自由詩 防波堤の暗転 Copyright 北村 守通 2017-11-15 00:59:28縦
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