橋に映る景色
藤鈴呼


イ草の匂ヒは昔から
得意ではなかったの、と
小さく呟いた蟻ん子が
畳の隙間で隠れん坊

絶景からも 借景からも 隔離された
清き空間に 注ぐ液体 それは 透明な水
真ん中に甲羅があって 二つに分かれ 降り注ぐ
今日の雨は きっと白糸
ファインダー越しには 気付けぬ隙間も
色濃く映し出すから デジカメの好意的な視線は素敵

パタンと本を閉じるように
窓枠を 折り畳んだら どうなるかしら
一枚 二枚 
取り出す旅に 違う景色を切り取って
あなただけの 絵本を作るのね

笑顔も泣き顔も苦しみも全て飲みこんだ葦が
来年には生えるのでしょう
きっと 映えるから
今は 這える指の先に
そっと 力を込めて 栄えある日を 待つのみ

暗がりの中で
向こう側の光を眺める
緑が色濃く映るのは
今日が 雨だからだよ

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自由詩 橋に映る景色 Copyright 藤鈴呼 2017-11-13 22:51:39
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