花屋
むぎのようこ


舌にさらさらとした、苦み。
冬にも、汗をかく。
そんなこともわすれていた気がした。
部屋中にふりまかれた、たがいの匂いの交配。
季節にはシンプルな獣であれば、うつくしくいられるのだと、悟って。
いとなみにも、腐敗する体液に賞味期限をつけた。
からだを拭うように。
何度も何度も行き交って、みそぐように。
ずぶずぶといたみに埋もれてゆく。
健全にうまれついて、疎んでもついてまわる。

花を
咲かせながら生きるように
つかいはたすためのいのちも
たおるように生きることも
えらべることも
もてあましたままの手と暮らす
きみは僕の健全をゆるして
僕もきみをゆるすだけの
よるは
なだらかに続き
いつかこわれるために
生きることの
うつくしさをさがす




自由詩 花屋 Copyright むぎのようこ 2017-11-11 23:48:30
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