あたる
藤鈴呼


辺りは暗がり
今宵どうしても
太陽に会いたいのだけれど
おてんとうさまは ゆるしてくれない
代わりに
お月様が微笑んだ
不思議な夜

すうと音がして
棚引いているのは雲

明日の朝になれば
緑色の隙間に
蜘蛛の糸が ぶら下がる

天使の梯子みたいな美しさを称えて
得意になっている笑顔が
浮かぶ

ボートの上で
オールはないかと
必死に探した

そもそもの理論を間違っている
底を御覧
穴から水が浸み込んでいる
素材は木
もう 其処からが 違ってた

即席麺の待ち時間は
三分かと思っていたら
その瞬間に鐘が鳴る
「おめでとうございます!
 一等賞です!」

目の前に 美味しそうなスープが
湯気を昇らせて
今にも伸びそうなのに
食べるまでの時間だけが
儚く延びそうだ

深く伸びをして
深呼吸とともに
今は 我慢の時と
言い聞かせる

当たりは何処だ
クジを引かないと
アタリに惹かれることは
決してありません

アナタのツキまで
消してしまうのに

何故 そこのところに
気付かぬまま
傷付いて しまうのでしょうか

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自由詩 あたる Copyright 藤鈴呼 2017-11-11 09:24:22
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