ひとつ ひとり
木立 悟





少しだけ人になる人
背のびをして
外を見る
雨の花がひろがっている


光は近く 遅くなり
音は速く速く伝わる
何もかもが光ではいられない
水の水の水の底まで


山頂の爪が
溶岩を見せては隠す
その度に夜は夜に戸惑い
更に夜である夜へ向かう


双つの管の
片方から出る水
夜に重なり千切れるまだら
すべてのはざまを埋める晶


肉の羽の軌跡と星座
白を白を追ってゆく
去ったものは戻らない
無数の傷が光の粉と降る


曇の容れ物に腕をひたし
何も無さをまさぐっている
雨はひとつ 雨はひとり
咲かぬものを咲かせつづける

















自由詩 ひとつ ひとり Copyright 木立 悟 2017-11-11 08:15:38
notebook Home 戻る  過去 未来